仙台のぞみ教会
いつまでも残るものは信仰と希望と愛です。
その中ですぐれているのは愛です。
会堂を建設された藤森誠之先生夫妻
借家での開拓から会堂取得まで
藤森誠之先生 藤森泰子先生
借家からの移転
仙台のぞみ教会は、1998年の4月から宮城野区の福住で借家をし、伝道活動をしていました。ところが、2000年の暮れに借家の所有者から、2001年の3月をもって借家契約を解消したいとの申し出が届きます。教会では所有者に1年間待ってもらい、その間に対応を協議することにしました。その時から教会では毎週の礼拝の後に祈りのときをもちました。また、教団の広報等で状況を知ってもらい、祈りによる一層の支援をお願いしました。
それまでの借家では、所有者の意向により看板が出せない、道がわかりにくい、駐車できるスペースが狭いなどの問題点がありました。仮に新しい会堂を建設すれば、そうのような点を克服できるかも知れません。けれども肝心の資金は遠く及ばないものでした。そのため、中古物件を購入して内部を改装することを前提に手分けをして探したのですが、適当と思われる物件を見出すことに大きな困難を覚えていたことです。
会堂取得
2001年9月下旬、八方塞がりであった中に、突然、問題解決のために光が差し込みました。知り合いの不動産屋から、中古の教会が売りに出ているとの情報が得られたのです。半信半疑のまま教会のメンバーで教えられた建物の内外をみたところ、外観はしっかりしていて、会堂内には教会活動に必要なものが全て整備してありました。この建物は、先に仙台で開拓を始めた藤森誠之師が自分の私財を投じて建てた単立・仙台桜ケ丘キリスト教会で、その時には空き家になっていました。
教会では、これを主の導きと信じて即座に購入することを決めました。その後、伝道部と理事会の協議により会堂の購入が認められたので、東京三鷹にあるTEAM本部において、仙台のぞみ教会と藤森師の関係者の方との間で購入契約が結ばれました。こうして藤森師夫妻の仙台での働きは、夫妻が天に召されてから3年間の空白の期間を置いて、仙台のぞみ教会に引き継がれることになりました。
藤森誠至牧師夫妻の働き
藤森誠至牧師は、牧師になる以前、東京の石神井で中学校教師と女子高の教師をしていました。そうした中で娘さんを通してキリスト教信仰に導かれ、基督長老・久我山教会において宇田進牧師により洗礼を受けたとのことです。教師生活30年を終えたとき主の召命を受け、定年を前にして務めていた学校を退職します。そして夫妻で東京聖書学院の基礎科に入学しました。その後、本科に進み、同時に並行して自宅を開放して武蔵野聖書キリスト教会を開き、実際の伝道をはじめます。夫妻の信仰は「全き献身」で、仙台での会堂建設は、その信仰を具現化したものと言えるでしょう。卒業後、東京武蔵野にあった自宅を売却し、1991年1月、単立・仙台桜ケ丘キリスト教会を建設したのです。夫妻にとって仙台の地は、誰も知る人がいない所でしたが、深い祈りの中で導かれてきたということです。こうして藤森師が63歳のとき、仙台での開拓伝道が開始されました。
夫妻は精力的に近隣の人たちに伝道し、やがて救われる人も与えられました。しかし泰子夫人が突然に病の身となり、開拓4年目の1995年9月に天に召されたのでした。藤森師はそれから単身で伝道に励む一方、教会のビジョンとして、社会の中で生きづらい思いをしている人たちのため、愛の共同体をつくるという思いを強くしました。このため、仙台での牧会をしながら、東京・三鷹にあるルーテル神学大学で学びはじめました。神学校の近くにアパートを借り、週末に車で仙台に向かうというもので、既に高齢であった藤森師にとって体力的に過酷であったに違いありません。このような中で1999年2月、仙台の会堂の一室において、人知れず天に召されたのです。こうして建てられ遺された会堂が、2002年4月、仙台のぞみ教会として再建されたのは、主の摂理という他はありません。
教会墓地
藤森牧師夫妻は、1994、青葉区郷六字大森に所在する宮城霊園に教会墓地を建立しました。会堂購入時には、既に夫妻はそれぞれ天に召され、墓地には藤森誠至師と泰子師の遺骨が埋葬されていました。2001年12月、この墓地について、藤森師の遺族から教会墓地を無償で譲るので、仙台のぞみ教会で墓地の管理を願いたいとの話がありました。教会ではそれを感謝して受け止め、霊園には法人上の墓地使用移転の申請をしました。この手続きが完了した2002年1月19日、二週間前に最初の洗礼者となった小岩定雄兄の葬儀と火葬がありました。そして小岩兄の遺骨は、その日から使用ができるようになった教会墓地に埋葬されたのでした。
記念会と献堂式
藤森誠至師によって開拓された単立・仙台桜ケ丘キリスト教会は、3年の活動休眠の期間を置いて日本同盟基督教団・仙台のぞみ教会として新しくスタートしました。2002年2月24日には、ルーテル神学大学の江藤直純師の司式により、会堂を建設した藤森誠至師・泰子師の記念会が行われました。藤森師が仙台から神学校に通っていたとき、クラスを担当したのが江藤師であったからです。
同日午後からは仙台のぞみ教会として、この教会の献堂式が行われました。説教は教団理事長で西大寺キリスト教会牧師であった赤江弘之師でした。赤江師は開拓当初から深く関わり、多くの励ましの言葉をもって教会を力付けてくださいました。