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はじめての聖書選び

聖書は、通いたいと思う教会が使用しているものを選んでください。以上。

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…とは言ったものの、「キリスト教に興味はあるけど、教会に行くのはまだちょっと…」という方、どんな聖書を買って読んでみたらいいのでしょうか。ネットのまとめを見ると、口をそろえて「新共同訳聖書の中判を買えば間違いがない」という安易な結論だけを述べていますが、値段はAmazonで5,800円(新共同訳聖書で)。買ってみて「ちがうよ、これ」となったら経済的な損失は結構痛いもの。そうなる前に、聖書の種類やバージョンについて確認しておきましょう。

聖書の種類とバージョン

 日本で使われている聖書は、「新共同訳聖書」がざっと4分の3、「新改訳聖書」が4分の1です。これに、かつての標準聖書だった「口語訳聖書」の三つが代表的なものとしてあげられます。これに加えて文学作品によく引用される戦前の「文語訳聖書」と、ホテルにおいてあったり学校で配られる「ギデオン協会ニューバイブル」の5つについて説明します。

​文語訳聖書

 明治時代につくられ大正時代に新約聖書の部分が改訳された聖書で、正式には日本聖書協会が刊行している『舊新約聖書』と言います。文語体の響きが美しいので、いろんな文学作品に引用されました。身近なところだと漫画「ゴルゴ13」の扉に使われている聖書の文面は、ここから来ています。ちなみに古代イスラエルの文字は子音で表記するので(ネット用語の「kwsk=詳しく」のように)、当時の読み方が失われると発音が分からなくなったり、研究の結果、読み方が変わったりします。この聖書では神様の名前を「ヱホバ」と表記してありますが、よく見ると「エ(え)」(E)ではなく「ヱ(ゑ)」(Je)の方です。研究が進み、今は「ヤーヴェ」(これもJa)と呼んだのではないかと言われています。

口語訳聖書

 第二次世界大戦後に、口語(現代語)に直した聖書を日本聖書協会が刊行しました。最初の「1954年(新約聖書)/1955年(旧約聖書)版」以降、「1975年改訂版」「1984年改訂版」「2002年改訂版」があり、時代に応じて差別語などを言い換えていった改訂を行っています。「新改訳聖書」「新共同訳聖書」が出るまで、ほとんどのプロテスタント教会で使われていましたので、高齢者の方には懐かしい聖書です。

 文語体に比べて格調がなくなったという意見もありますが、現代につながる聖書の固有名詞などは、この口語訳から出ています。その一方で、神学的には疑問符をつけられた部分も多く、聖書に書かれたことを大切にする福音派の教会では、この訳に反対して日本聖書刊行会を結成し、以下に出てくる「新改訳聖書」を新しく作りました。

 近年、著作権が切れたためネットでも容易に全文を入手することができます。

新改訳聖書

 口語訳聖書がやや考古学的な解釈や現代的な解釈を取り入れたため、聖書本来の考えから離れているのではないかとの考えから、原語である「へブル語(旧約聖書)」「ギリシャ語(新約聖書)」から翻訳しなおした聖書です。福音派の教会(→はじめての教会用語辞典のは行「福音派」参照)を中心に、約4分の1の教会で「新改訳聖書」を使用しています。1970年に「初版」が刊行され、「第二版」(1978年)、「第三版」(2003年)と改訂が続き差別語などが修正されてきました。2020年3月現在、仙台のぞみ教会で使用しているのは、「第三版」です。

 そして近年、大改訂が行われ「2017年版」が登場しました。固有名詞も、一般の人が広く使っているものに準じたものとなり、例えばローマ皇帝の「カイザル」は「カエサル」に、エジプトの王様を表す「パロ」は一般的な「ファラオ」になりました。

 神学的に正確な聖書をお求めの場合、「新改訳聖書・2017年版」が良いでしょう。

 なお、2020年4月5日の礼拝からは『新改訳聖書2017年版』を公式聖書として使用します。ただし、礼拝で読み上げる聖書箇所についてはご用意し、支障のないように準備いたしますので、古い版をお持ちの方でもご安心ください。

新共同訳聖書

 カトリックとプロテスタントの学者が共同して訳した聖書なので、新「共同」訳聖書と言います。ミッション系の学校での需要も多いことから、聖書全体の4分の3を占めています。

 「新共同訳」の前に、1978年に「共同訳聖書」が出されましたが、「イエス」「パウロ」などの固有名詞が「イエスス」「パウロス」などのカトリック的読み方で、違和感からあまり普及しませんでした。その後、1987年に「新共同訳聖書」が刊行され、多くの教会やミッションスクールで使われるようになりました。数多く普及している反面、カトリックが第二聖典と位置付けプロテスタントが「偽典」と考えている聖書の箇所が入っていたり、カトリック的な信仰(例えば、「聖母マリア」はプロテスタントではただの人)が見られたりするという面もあります。

 学校聖書として使われているので、残念ながら卒業シーズンには多くが古本屋に並びます。もし、まず安く聖書を安く入手したいという人にも良いかもしれません

ギデオン訳聖書

 ホテルにおいてある聖書や学校で配られた聖書は、日本ギデオン協会という超教派のキリスト教の団体が配っているものです。みなさんも一度は目にしたのではないでしょうか。かつては「新改訳聖書」「新共同訳聖書」版も配っていたのですが、近年は著作権の関係から、泉田昭さんという牧師先生個人が訳した「ニューバイブル版」(または泉田訳聖書)を配布していることが多いようです。

聖書のサイズ

 聖書の大きさは、一般には「大(A5版)」「中(B6版)」「小(A6版)」があります。

「大(A5版)」は革の表紙などのものもあり、自宅の置き聖書やプレゼントに最適ですが、なにぶん重いので持ち運びは大変です。

一方、「小(A6版)」は小さくていいのですが、(1)小さいので字も小さい、(2)聖書カバーなどのオプションも少ない、(3)大きさに比べて厚み(ページ数)は変わらないので分厚く感じてしまうなどのデメリットがあります。

これらに比べて「中(B6版)」は、昔から「バイブルサイズ」と呼ばれるほど普及し、使い勝手もよいサイズになっています。しかも聖書カバーなどのオプションも数多く売られていますので、これを選んでおけば間違いありません。

「旅行などで持ち運びしたいのだけど…」というのであれば、「新約聖書+詩編」の小型サイズだとか、今なら電子書籍版をキンドルで持ち運ぶのがいいと思います。

 文字の大きさについて言えば、新改訳聖書を発売しているいのちのことば社のホームページに「大型スタンダード版」「中型スタンダード版」「小型スタンダード版」の文字の大きさのサンプルがありますので(画面上で見るとモニターの拡大サイズで変わってきますので、印刷してみてください)、それで判断してみてください。ただ「小さな文字が見えにくい」と言ってやたら大きなサイズの聖書を買うよりは、「中型+ハズキルーペ」をおススメします(笑)。

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聖書カバー

 中版の聖書には聖書カバーがたくさんそろっています。布製の安いものから、イタリア製の革を使用した数万円のものもあります。聖書は辞書のような薄い紙でできているし、何回も開いたり閉じたりするので、そのままで使用していると全体が開いてしまったり、表紙の端からはがれてしまうこともあるので、カバーをつけて使用されることをおススメします。

聖書のおともに

 聖書を読むときに右の(モバイル版にあっては上の)本を合わせて読むと、きれいな写真やイラストで理解が深まったり、考古学的な背景が分かって楽しみが増えます。

ヘンリー・H・ハーレー『聖書ハンドブック改訂版』いのちのことば社、2000年。

ヘンリー・H・ハーレー『新聖書ハンドブック』いのちのことば社、2009年。

ジョン・ドレイン『ビジュアル聖書百科』いのちのことば社、1999年。

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